(接線方向)収縮大収縮小(半径方向)未乾燥干割れなし乾燥前表層のみ乾燥干割れ発生乾燥割れ乾燥後乾燥し収縮未乾燥未収縮水分傾斜による割れ254水分傾斜による割れ丸太の乾燥、収縮による割れ乾燥割れ●原因 割れは、寸法変化と同じく、乾燥による収縮率の異方性と、乾燥過程における表層と内部の水分傾斜によって生じ、避けることは困難です。更に、屋外に設置された木材の割れは降雨等による湿潤と好天候による過乾燥の繰り返しにより助長されます。(1)収縮率の異方性に基づく割れ 正確な二方柾や薄い板には少なく、丸太や断面の比較的大きな追柾や芯持ちの角材に多く生じます。前者は収縮しても材内部のひずみ(内部応力)は小さいですが、後者は収縮率の異方性や材内の水分傾斜により大きな内部応力を生ずるためです。(2)乾燥過程での水分傾斜に基づく割れ 薄い板はほぼ平均的に乾燥しますが、断面の大きいものは表層から乾燥し、その過程において表層は気乾に近く、内部含水率はまだ30%以上という状況が生じます。つまり、表層は乾燥によって収縮しますが、内部は含水率が高いままなので収縮しない状況になり、表面に割れが発生します。正確に二方柾に木取りした角材でも断面が大きい場合、材面に割れが生ずるのはこのためです。(3)乾湿繰り返しによる割れの助長 野外に曝露された木材、例えば横置きした丸太は、下面は日影で雨もかからないので水分の変動が少ないのに比較して、上面は過乾燥と湿った状態を繰り返すことになります。 このため、上面に割れが発生し、割れが閉じたり開いたりを繰り返すことによって、この部分が全体の内部応力の緩和を行うことになり、幅が広く深い割れに進行します。
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